やまねこの物語

散歩 ビールの街のワイン通り

世界最大のビール祭りが行われ、ビールの街として名高いドイツ・ミュンヘンには「ビール通り」や「ビール広場」といった地名がないかわりに「ワイン通り」という地名がある。しかもミュンヘン市の最も古い通りの一つであり、その存在には意味がある。この通りは街の中心マリエン広場から延びる通り入り口にワイン市場があったことに由来する。1300年頃ここではネッカー川周辺やアルザス地方、南チロルのワインだけでなくギリシャ産など地中海周辺のワインをも手に入れることが出来、しかもその値段も格安であった。

この通りは他の街から行商にやってきたワイン商人が集まり市場となったが、それらは天候の良い日しかお店を出すことが出来ずにいた。ちょうどそのころ、この通りに第三回ワイン商人組合が結成され(いつ?)ワイン商人も住みはじめた。場所は現在、ドニズルというレストランの隣である。商人はそこに自身のワイン倉も持っていたので口当たりの良いワインをその場で提供することが出来た。そうすることによって市民だけでなく、例えば当時神聖ローマ帝国皇帝であったルートヴィヒやブラウンシュヴァイク公オットーなど貴族もここを利用した。

ところで他の街からやってきたワイン商人はワイン樽を夜間、別の場所に保管しておく必要があったが16世紀中頃、マリエン広場から延びるディーナー通り(ワイン通りの一本東側の通り)に出来た市の倉に預けることとなった。またブルク通り(さらに一本東側)にもワイン倉が出来(16世紀)、そこでもワインが提供されたのでマリエン広場周辺はワインの地となった。

しかしビールが一般的になるとその状況は一転し、明らかにワイン商人にとって不利な状況となった。その結果ワイン通りからは市場がなくなり、商人も次第に姿を消していった。しかし現在、ワイン通りにワイン市場はなくなったものの、ワイン通りとディーナー通りに挟まれて建つ新市庁舎地下にはワインを提供するお店があり、またブルク通りに出来たワイン倉のお店は現在も営業している。

ワイン通り

ワイン通り

ディーナー通り

ディーナー通り

ブルク通りにあるお店

ブルク通りにあるお店

 

 

 

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