聖母教会はミュンヘンの象徴ともいえる教会で、南バイエルン教会圏の首教会。ネギ坊主頭の二つの円筒(北塔が99メートル、南塔が100メートル)が遠くから見渡せるように、ミュンヘン市内の中心部の建築の高さは36メートルと条例で決められている。またこの教会はミュンヘン最大の後期ゴシック様式の教会で、建立は1468-88年。教会内部にはヴィッテルスバッハ家46人の墓所がある。入り口の直ぐそばにあるのは、皇帝ルートヴィヒの墓碑。この教会の大きさは奥行き109メートル、間口40メートル、天井までの高さ31メートル。内部は三身廊からなり22本の八角形柱は意図的に見せかけの壁のようになっている。聖堂入り口からは側廊と窓は見えず、現在ある内陣の窓もかつては大祭壇の後ろに隠れて見えなかった。そこからこの教会には“悪魔の足跡”の言い伝えができた。教会を覗きに来た悪魔は窓のとりつけが“忘れられた”ことを大いに喜び、あまりに足を強く踏みならしたので聖堂入り口に足跡が残ったというものである。この教会は質素な構造になっているため、あまり目立ったものがないように見えるが、教会的、歴史的には内容の豊富な教会である。北塔下の礼拝堂には1473-76年に作られたマリアヒルフの祭壇が、また中央の像、司教トゥルベック(1476年)の墓碑などがある。南塔下には1390年頃に作られたキリストの受難劇を描いたステンドグラスがある。聖器保管室にはペーター・カンディードによって1620年に作られたかつての大祭壇聖像画“マリアの昇天”が、聖司教ランツベルトの礼拝堂には1500年頃に作られたゴシック様式の使徒と預言者の木造が、キリストの洗礼の礼拝堂には1483年フリードリヒ・パーヘル作の両翼絵”キリストの洗礼”がある。また内陣主礼拝堂の美しい浮き彫りは有名なイグナーツ・ギュンター(1774年)の手による。北西正門入り口には1525-30年にハンス・ラインベルガー作の聖ゲオルグの大きな木造がある。またこのページにある白黒の写真は全て聖母教会内に展示されてあるもの。
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